あなたはどのような姿勢や動作をすると腰が痛みますか?
正常な腰椎は、おなか側の方向に少し凸になるようにカーブになっています。
でも、以下の姿勢や動作をしたとき、どうですか?
・からだを後ろへ反らすと痛い
・からだを横に傾けると痛い
・寝てるときに痛い
このような場合は骨盤が前に倒れて、上半身が前に倒れていかないように腰を過剰に反らしてバランスを取ろうとします。
では、次の姿勢や動作をしたとき、どうですか?
・からだを前屈すると痛い
・からだを左右にねじると痛い
・座ってると痛い
このような場合は骨盤が後ろに倒れて、上半身が後ろへ倒れていかないように背中や腰を丸くしてバランスを取ろうとするため、猫背になり、腰椎のカーブはなくなってまっすぐの状態になります。
これは、腰を丸くしたタイプの腰痛になります。
では、この2つのタイプの腰痛の原因はなんなのでしょうか?
骨盤や腰椎が歪んでいるから?ズレているから?
じゃあ、腰椎や骨盤をボキボキ鳴らして矯正して歪みやズレを治せば良いじゃないと思っている方、非常に多いと思います。
先代の時はそれで一瞬で治った経験のある方も多いと思います。
私も同じように幾度となく腰やあらゆる関節を矯正してもらった経験があるので非常に良くわかりますし、信じていました(笑)
つまり、腰の歪みやズレが原因で痛みが出ているという見解でしたから、関節をボキボキ鳴らして「もう、痛ないやろ?」「腰椎のズレは治ったぞ」で終わっていました。
しかし、よく考えてみてください。
腰が歪んでしまうズレてしまう原因ってなに?って思った方、気づいた方、いらっしゃいますか?
すべての関節にも言えることですが、腰にフォーカスして歪みやズレの原因はなんなのか?をさらに掘り下げると、そもそも腰椎や骨盤が歪んでしまう原因は、腰回りを支えている筋肉が本来の働きをサボってしまい、筋力が低下してしまった結果、腰を構成している骨盤や腰椎の関節を支えきれなくなって歪んだりズレてしまうのです。
個人差はありますが、腰をボキボキ鳴らして矯正してもらったけど腰の慢性症状が消えなかったり、痛みが戻ってきたり、ギックリ腰を再発したりしませんでしたか?
それは、間違いなく骨盤や腰椎の関節が歪んだりズレたりして痛みを発しているのではなく、本当の原因は筋力が低下してきてしまった結果、骨盤や腰椎の関節が歪んだりズレたりしているのです。
これは年齢に関係なく、中学・高校生のような若い子でも腰の筋肉の使い方が悪いと頑張りすぎる筋肉とサボってしまう筋肉が存在してしまうため、腰痛になってしまうのです。
腰が反るタイプの痛みの原因となる筋肉はどこなのか?
腰椎の横から骨盤の中を通って太ももの骨の内側に付着する大腰筋(だいようきん)と骨盤の内側から太ももの骨の内側に付着する腸骨筋(ちょうこつきん)、2つ合わせて腸腰筋(ちょうようきん)というのですが、この筋肉の筋力低下が原因で本来の働きをサボってしまうために骨盤が前に倒れてしまい、腰は反った状態になってしまうのです。
そうすると、お尻の奥にある梨状筋(りじょうきん)、骨盤の外側から太ももの外側を通って膝関節の外側に付着する大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)が過剰に頑張りすぎてしまうため、その筋肉が痛くなったり、背中と腰の境目あたりに痛みを発してしまいます。
特に、お尻の奥にある筋肉(梨状筋)が硬くなりすぎると坐骨神経を締め付けてしまうこともあり、その場合は足にシビレが出てきてしまいます。
腰が丸くなるタイプの痛みの原因となる筋肉はどこなのか?
腹筋は、表層から腹直筋(ふくちょくきん)、その次の層の左右にある腹斜筋(ふくしゃきん)、おなかの最深部の左右にある腹横筋(ふくおうきん)の順番に構成されています。
それと、背骨の後ろ側の最深部の左右にあり、背骨を1個ずつ支えて安定させたり、腰や上半身を反らせたりするときに働く多裂筋(たれつきん)があります。
この腹横筋と多裂筋が筋力低下を起こし、本来の働きをサボってしまうために骨盤が後ろに倒れて腰が丸くなった状態になります。
まず、腹横筋が弱ると上半身の重さを支えつつ骨盤を水平に保つ働きを、骨盤の外側から大腿骨の外側の出っ張ってる骨の所をつないでいる中殿筋(ちゅうでんきん)だけに過剰な働きをかけてしまいます。
また、多裂筋が弱ると腰の前側の最深部で支えている腸腰筋に過剰な働きをかけてしまうので、過緊張で硬くなってしまいます。
そして、太ももの前の付け根にある恥骨筋(ちこつきん)が腸腰筋の隣にあり、おまけに似たような働きもするので、腸腰筋と同様に過剰な働きをまともに受けてしまいます。
腹横筋は内臓をコルセットのように包んでくれている腹筋なので、弱ってくるとぽっこりおなかの原因にもなってしまいますし、レントゲンを撮ると背中から腰までの背骨のカーブが消えてまっすぐになっている方もいらっしゃいます。
腰が反るタイプ、丸くなるタイプで気になる腰痛の代表的な診断名は?
腰が反るタイプでは、腰椎分離症やすべり症、坐骨神経痛が多く見られます。椎間板ヘルニアもこちらのタイプで見られます。
腰が反るタイプの場合は、腰椎が過度におなか側に凸のカーブを描いてるので、腰椎はおなか側にすべりやすい状態になります。
分離症も腰椎の後方にある突起部分が折れて分離している状態なので、過度のカーブによっておなか側にズレていってしまいます。
また、反り腰になると腰椎の下になる仙骨もおなか側に傾く角度が大きくなります。
そうなることで、必然的に腰椎がおなか側にすべりやすくなってしまうのです。
仙骨が前に傾きすぎることで、仙腸関節にも過剰に負荷がかかり、炎症による痛みも起きやすくなります。
腰が丸くなるタイプでは、脊柱管狭窄症が多く見られます。椎間板ヘルニアもこちらのタイプでも見られます。
腰が丸くなるタイプの場合は、背骨の後ろ側の最深部の左右にある多裂筋と上半身の重さを支えながら骨盤を水平に保つ働きをしてくれる腹横筋が弱ることで骨盤は後ろに倒れ、腰椎はおなか側の方向に少し凸になっている自然なカーブが失われて、真っ直ぐになっている状態になります。
そうすると、上からは上半身の重さと下からは地面からの衝撃が通常よりも腰椎へかかることで縦方向の過剰な負担が、椎間板に偏った圧力を与え続けることになって、つぶれてはみ出したりしてしまいます。つぶれてはみ出すことで、背骨の中のスペースが狭くなるため、その中を通る脊髄神経が圧迫されて痛みやしびれが生じてしまいます。
腰が反る、腰が丸くなる、いずれも腰回りの筋力のアンバランスが原因で引き起こされています。
ギックリ腰も腰の筋力のアンバランスが原因で筋肉が過緊張を起こし、限界を超えてしまったことによって起こる腰痛です。
さらに、アンバランスを放置していると腰回りの関節にもダメージを与えてしまい、腰痛が重症化していくその行き着く先がすべり症や腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症などの疾患になってしまいます。
腰が痛いから手術をしたけども良くならない話を聞いたことありませんか?
その痛みの発端は、腰まわりの筋肉の筋力低下なので、これを無視して腰痛が治ることはありません。
そして、手術で筋力低下している筋肉は強くなりません。
腰痛をなんとかしたいなら、施術とセルフケアの運動療法で腰回りの筋力をバランス良く整えることです。
今月も最後まで読んでいただきありがとうございました。